越後三十三ヶ所観音霊場巡り


はじめに


 三十三ヵ所観音霊場の巡拝は、八世紀のはじめに、すなわち養老年間に大和の国長谷寺の徳道上人によって創められたという。
 伝説によると、病で亡くなった道徳上人が閻魔大王に会い、三十三ヵ所の観音霊所をひろめて、悩める人々を救うように三十三の「宝印」を与えられ西国三十三ヵ所観音巡礼のはじまりである。そのうち上人はその宝印を中山寺に埋め、今日その宝印を見ることができないけれども、各札所に参拝したおりに押してもらう「印」はこの宝印を象徴するものである。
 納経とは元来自身で心境や観音経を写経して各霊場へ納めたのであるが、今日では巡拝の記念に納経料を納め、その受納のしるしとして納経帳に宝印を押す習慣になっている。
 霊場のことを「札所」というのは、永延二年(988)花山法皇が西国霊場巡拝のとき、歌一首を札に記したのがはじめとなり、やがて木札となり巡礼はそれを首にかけて霊場ごとに一札ずつ打ちつけて巡拝したという。そこで巡拝することを「打つ」というのは、木の納札を打ちつけることによるのである。しかし今日では木札は紙札になっている。
 さて西国巡礼がさかんになるにしたがって各地に三十三ヵ所の霊場を設ける気運が高まってきた。越後三十三ヵ所の霊場は康元元年(1256)北条五代最明寺時頼卿が越後回国のおり岩屋堂を最初に打ちはじめ、三十三ヵ所の霊場を定めたという。

(越後三十三観音連盟発行「越後三十三観音詳細地図」より)


参考資料



年季が入ってボロボロ状態の2冊

越後三十三観音詳細地図

発行者 : 越後三十三番観音連盟


●越後三十三観音札所
  「巡礼の旅」

発行    : 新潟日報事業者出版部
編著    : 佐藤 高
仏像撮影 : 高橋 与兵衛


 かなり古い資料だったので記載されている地図と実際の道路がかなり変わっていて苦労しました。




はじめるにあたって購入したものと、納経料と朱印代は


 納経帳と納経軸がありますが、僕らは完成後の掛け軸に魅せられてはじめたというところもあり、迷わずに納経軸を購入。納経帳は¥1、000ーかな。納経軸は3種類あり、それぞれ値段が違っていましたが、中を取って¥13、500ーの物を購入。第一番札所で納経軸は販売しているということで岩屋堂から回りはじめました。各所での納経料と朱印代は納経料が¥200ー、朱印代が¥100ーです。場所によっては無住職、不在もあるのでそのようなときは次の場所でお願いすることにしました。




越後三十三番札所観音霊場一覧

札 所 寺 院 住 所 宗 派
第一番札所 岩屋堂(いわやどう) 上越市名立区名立大町270(旧西頸城郡名立町大字名立大町) 曹洞宗
第二番札所 摩尼王寺(まにおうじ) 妙高市十日市805(旧新井市下十日市) 曹洞宗
第三番札所 大泉寺(だいせんじ) 柏崎市大字大清水1502 真言宗
第四番札所 妙智寺(みょうちじ) 柏崎市鯨波三丁目7−33 曹洞宗
第五番札所 宝蔵寺(ほうぞうじ) 刈羽郡刈羽村滝谷1701 真言宗
第六番札所 常楽寺(じょうらくじ) 刈羽郡刈羽村大字井岡 真言宗
第七番札所 摩尼珠院(まにしゅいん) 柏崎市大字藤橋1215 真言宗
第八番札所 不動院(ふどういん) 柏崎市宮之窪312 真言宗
第九番札所 広済寺(こうさいじ) 柏崎市高柳町大字高尾(旧刈羽郡高柳町) 曹洞宗
第十番札所 長徳寺(ちょうとくじ) 十日町市友重乙170甲(旧中魚沼郡川西町) 曹洞宗
第十一番札所 大福寺(だいふくじ) 南魚沼市長崎811(旧南魚沼郡塩沢町) 真言宗
第十二番札所 天昌寺(てんしょうじ) 南魚沼市思川39(旧南魚沼郡塩沢町) 曹洞宗
第十三番札所 弘誓寺(ぐぜいじ) 魚沼市田川537(旧北魚沼郡堀之内町) 真言宗
第十四番札所 真福寺(しんぷくじ) 小千谷市片貝町池津469 真言宗
第十五番札所 千蔵院(せんぞういん) 長岡市柏町1−5−12 真言宗
第十六番札所 椿沢寺(ちんたくじ) 見附市椿沢町3256 真言宗
第十七番札所 不動院(ふどういん) 見附市小栗山町1778 真言宗
第十八番札所 根立寺(こんりゅうじ) 長岡市上岩井3201(旧三島郡三島町) 真言宗
第十九番札所 光照寺(こうしょうじ) 三島郡出雲崎町尼瀬1280 曹洞宗
第二十番札所 照明寺(しょうみょうじ) 長岡市片町2408(旧三島郡寺泊町片町) 真言宗
第二十一番札所 吉田寺(きちでんじ) 新潟市西蒲区渡部1198(旧西蒲原郡分水町) 曹洞宗
第二十二番札所 国上寺(こくじょうじ) 燕市国上1407(旧西蒲原郡分水町) 真言宗
第二十三番札所 観音寺(かんのんじ) 西蒲原郡弥彦村大字観音寺328 曹洞宗
第二十四番札所 景清寺(けいしょうじ) 新潟市西蒲区平沢455(旧西蒲原郡巻町) 浄土真宗
第二十五番札所 真城院(しんじょういん) 新潟市中央区西堀通り八番町1583 真言宗
第二十六番札所 乙宝寺(おっぽうじ) 胎内市乙(旧北蒲原郡中城町) 真言宗
第二十七番札所 光浄寺(こうじょうじ) 岩船郡神林村大字有明 曹洞宗
第二十八番札所 白蓮寺(びゃくれんじ) 新発田市五十公野1856 曹洞宗
第二十九番札所 宝積院(ほうしゃくいん) 北蒲原郡聖籠町諏訪山578 真言宗
第三十番札所 普談寺(ふだんじ) 新潟市秋葉区朝日2560(旧新津市) 真言宗
第三十一番札所 正円寺(しょうえんじ) 五泉市寺町(旧中蒲原郡村松町) 真言宗
第三十二番札所 宝塔院(ほうとういん) 三条市東裏館一丁目6−5 真言宗
第三十三番札所 最明寺(さいみょうじ) 三条市院内(旧南蒲原郡下田村) 真言宗


番外一覧

開運観音 八海山龍谷寺 魚沼市大崎3455(旧南魚沼郡大和町) 曹同宗
那智観音 越後別院 新潟市南区上下諏訪木87(旧白根市)  
井栗観音 宝珠山来迎寺 三条市井栗甲178 真言宗
椎谷観音 別当大辻山華蔵院 柏崎市椎谷772 真言宗
太郎代観音 塔婆山金龍庵 新潟市北区太郎代1506 曹同宗

注) 上記番外は平成元年出版の「巡礼の旅」を参考にしたもの。那智観音の越後別院は数年前に管理されていた方が死去されてから観音像は三十番普談寺が管理して札所はありません。さらに現在、霊場会では番外を認めていません。


実際にはじめてみて

 33カ所すべてに住職なり管理者がいるわけではなく、地域の方々が善意で朱印・納経をしてくれているので、回るこちら側もかなり気を使いながらの巡拝のなってます。さらに無住職や都合により不在などもあり、なかなか思うようには行ってないのが正直なところです。私たちも日曜日や祭日を利用してますが、相手もあることなので早朝や日が暮れてからの訪問は控えるようにしています。もし朱印は出来たが、納経が出来なかった場合は次の巡拝先でお願いするようにしております。さらに33カ所も回るのですからいろいろな人たちがいますので嫌な目にあうこともありますが、それも一つの苦行と思ってありがたく受けるようにしています。
 所在地が自然の多い場所にありますので、不謹慎ではありますがちょっとしたドライブ気分も味わえます。特に新緑や紅葉の季節なら最高ですね。そんなわけでまだまだ先は長いです。(1999年12月)


三十三番札所と番外

 2000年10月8日で三十三カ所札所をすべて終えました。しかし、納経軸を見るとそれ以外のマスがあるんです。実は途中で番外と称する観音様があることがわかりました。新潟日報事業社から発行されている「越後三十三観音札所 巡礼の旅」に紹介されていました。せっかくだからこれも御参りしようとということになったのですが、これがまたいろいろ問題が出て10月現在ストップしてます。
 越後三十三カ所観音札所の本部になっている千蔵院住職のお話では「番外など存在しておらず、マスが残っているから個人の自由で参詣しているだけで意味などない」というお話。あくまでも三十三カ所だけが由緒ある観音様であるらしい。
 それだけならいいのだが、番外として紹介されている白根の「那智観音」。こちらの住職は3年前に他界されており現在は、観音様も新津の普談寺に返されてしまったそうです。普談寺に問い合わせてみると、観音様は安置されているので御参りされるのは構わない。朱印も捨てずにあるので希望すればしてもらえるということでした。しかし納経については基本的にしていないので、参詣した印として朱印のみになりますということでした。

 2011年に新潟県石仏の会「石仏フォーラム」に参加した際に興味ある発表がありました。それは新潟県立歴史博物館に所蔵されている「越後七郡三仏巡拝記」という嘉永7年(1854年)に刊行された書物にあります。 内容は越後三十三観音めぐりに加え、阿弥陀仏18箇所、地蔵48箇所、番外観音札所9箇所のあわせて108箇所めぐりの案内書になっているそうです。
 そう、当時には番外観音札所9箇所があったんですね。「あっ、ここかあ〜」というのがほとんどなのですが、一つ二つ「?」というのがあります。9箇所の寺名と所在地を記しておきますので興味ある方は足を運んでみられるとよろしいのではないでしょうか。

1) 長楽寺(禅宗)       正観音(慈覚大師作)  阿賀野市(旧水原町)
2) 福隆寺(真言宗)      千手観音(行基作)    阿賀野市寺社(旧安田町)
3) 来迎寺(真言宗)      正観音(行基作)     三条市井栗山
4) 徳昌寺(禅宗)       十一面観音(行基作)  長岡市与板(三島郡)
5) 慈眼寺(真言宗)      正観音(弘法大師作)  小千谷市
6) 高安寺(禅宗)       千手観音(御作不知)  上越市高田城下
7) 花(華蔵院)(真言宗)  正観音(海中出現)    柏崎市椎谷
8) 宝亀院(真言宗)     白山大権現(本地十一面観音) 新潟市
9) 三仏生村観音堂(?)  正観音弥陀薬師     小千谷市三仏生村  納経世話役和田与平衛

 このような感じです。 これ以外でも札所になっていないお寺にうかがった際に「私のところも番外になっている」という観音様に出会うときもあります。詳しい話は聞きませんが、札所以外にも由緒ある観音様に出会えることがあるかもしれませんね。

巡礼の旅トップへ